太陽光発電を始めるならシミュレーションが大切!方法と注意点
太陽光発電システムの導入で気になるのは、発電量でしょう。初期費用は100万円を超えますから、それに見合う電気代の節約や売電での収入が見込めなければ、導入する意味がないのです。ここでは自分でできる太陽光発電シミュレーションの方法をご紹介します。設置業者のシミュレーションとの違いやデータのチェックの仕方をお話しします。
導入前の簡易シミュレーション方法
「もし自宅に太陽光発電システムを設置したら?」設置業者に依頼すると、本格的なシミュレーションをおこなってくれますから、ある程度信頼の置ける数字を出してくれます。しかし導入をするかどうか迷っている段階で設置業者に声をかけてしまうと、何だか悪い気がしますし、その後のセールスも心配になるでしょう。
そんな場合におこないたいのが、簡易シミュレーションです。京セラやシャープなど、システムを製造しているメーカーがWebページを設けておこなっていますが、基本は以下の計算式にのっとっています。
システム容量(kW)×年間平均の日射量(kWh/㎡)×365(日)×損失係数=年間発電量
システム容量の計算の仕方
「システム容量」を出すためには、どれくらいの規模のシステムを屋根に載せることができるか知る必要があります。太陽光パネルを設置するなら、南向きや南西・南東が望ましいので、その部分の屋根の面積を大まかでよいので知りましょう。メジャーを使うのがベストですが、歩幅を用いて測る方法もあります。
次に知りたいのが、屋根に載せることができるシステムの大きさなのですが、太陽光パネルの大きさはメーカーごとに異なりますし、屋根のすべてを太陽光パネルで覆ってしまうわけでもありません。ここでは京セラのサイトに掲載のシステムの大きさを参考にしましょう。
幅8m(6枚)×奥行き3m(3枚)=3.348kW、幅9m(7枚)×奥行き3m(3枚)=3.906kW、幅8m(6枚)×奥行き4m(4枚)=4.464kW、幅9m(7枚)×奥行き4m(4枚)=5.208kW(システムのサイズはおおよそです)。これらは長方形にパネルを並べていますが、ピラミッド型に並べるという方法もあります。京セラ製の太陽光パネル1枚のサイズは、1470×990×36mmですから、ご自身で計算してみるのも良いでしょう。
年間平均の日射量の調べ方
「年間平均の日射量」で最も参考になるのは「NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)」の「日射に関するデータベース」で、島根県なら16か所の平均日射量(1981年~2009年)を調べることができます。たとえば松江市なら年間平均の日射量は「3.37kWh/㎡」となっています。
損失係数
日光が当たりさえすれば、太陽光パネルは常に100%で発電できるわけではありません。パワーコンディショナーや配線、太陽光パネルの表面温度や汚れによりロスが発生するのですが、これは損失係数で表されます。様々な要素を勘案しなければならないのですが、日本の太陽光発電システムでは0.85という数字がよく使われます。つまり、松江市に3.5kWの太陽光発電システムを設置した場合、3.5(kW)×3.37(kWh/㎡)×365(日)×0.85=3659.4kWhの電力が得られるとシミュレートできるのです。
設置業者に本格的なシミュレーションを依頼する
ご自身の計算で、太陽光発電システムの導入に前向きになったなら、設置業者にシミュレーションを依頼しましょう。彼らがおこなうものも基本的には上でご紹介した方法と同じですが、多くは「PVsyst」や「SolarPro」などプロ用のソフトを使用しています。これらは建物や街路樹などの影や地形、気象データなども考慮することで、よりリアルなシミュレーション結果が期待できるものです。価格も10万円ほどもしますし操作も複雑ですから、私たちが使いこなすにはハードルが高いものとなっていますが、それだけにプロならではのシミュレーションが期待できます。
太陽光発電のシミュレーションで注意すべきポイント
設置業者によるシミュレーション結果を手にしたら、まずはご自身で出した数値と比較してみましょう。要注意は業者が計算した発電量がむやみに高い場合で、お得感を強調して契約を迫ろうとする魂胆が見え見えです。そんな場合は、損失係数や日射量の根拠、影や地形などの配慮について質問をおこなえば、すぐにボロを出すでしょう。
たとえば損失係数は、ご紹介した計算式では一律に0.85としていますが、プロならばメーカーごとに季節別に発表してる損失係数を用いてシミュレーションをおこなうべきでしょう。日射量も上の式で用いた年間平均の日射量ではなく、同じくNEDOが発表の月別日射量を用いておこなうべきなのです。これらを設置業者に質問すれば、真っ当な業者なのか、残念な業者なのかを見分けるもできます。
少々面倒に感じるかもしれませんが、やり出すと楽しいのが太陽光発電システムのシミュレーションです。どれくらいの節約になるかの具体的な数字は、導入するかどうかの判断になりますし、浮いた電気代の使い道を想像するのも良いでしょう。
さらに業者の質の判断にも使えるのも面白いところですし、それなりに知識を備えたお客さんならば業者も気合が入るというもの。しっかりとした工事が期待できるのです。業者に本格的なシミュレーションを依頼する前に、ぜひご自身でシミュレーションをおこなってみてください。